【第三分科会】環境にやさしい園芸福祉活動

テーマ:様々な環境問題を抱える中、環境保全や休耕地活用などの事例を基に
園芸活動の効用を話し合う。

■東京農業大学准教授:服部 勉氏  ★コーディネーター

zenkoku09_g_clip_image002 今回、第3分科会、環境にやさしい園芸福祉活動のコーディネーターをつとめます服部です。地元、江戸川での開催に少し緊張していますが皆さん宜しくおねがいします。
最近は江戸の園芸文化が多方面から評価され、多くの誌面などで紹介されています。
そのため私自身も庭園に加え、当時の緑の状況や園芸文化に関する話しをさせて頂く機会も大変増えています。そこで口先三寸とならぬように実際に江戸時代に流行った桜草や朝顔なども育ててはいますが今年は天候不順に加え、愛情が足らなかったのか、なかなか満足いくような美しい花が咲かずガッカリでした。
それでも狭い庭に、蓮から山野草、蘭などの鉢植えがごちゃごちゃと所狭しとひしめいています。そのため道行く方の眼に留まる事も少なくありません。
小さなひと鉢に、これからどんなしあわせを咲かせようか、その楽しみはつきません。(録音原稿がないため大会誌寄稿文から抜粋)

■いきいきガーデニングクラブ代表:黒澤 真紀子氏
zenkoku09_g_clip_image002_0000 2004年8月から東京都の要請により篠崎公園の緑づくりの企画に参加して、約半年間かけて準備を進め、地中式コンポストを埋設したハーブガーデンをつくることになった。メンバーは江戸川区環境部のリサイクルリーダー講習会で出会った仲間、その友人などが集まった。
2面の花壇があり、ハーブは比較的なじみのあるものから13種類を選んだ。ただしメンバーの大半がハーブのことをよく知らないという状況で、まず名前を覚えてもらうことから始めた。苗の植えつけでは、園内に小石がとても多く大変だったことが思い出される。それでもみんな一生懸命、腐葉土をすき込みながら植えていった。活動は毎月第二土曜の10時から2時間程度、そのほか自分の都合のよいときに来て作業してよいことにしている。
2年目の春には冬越ししたハーブはとても元気に株も大きくなり、3月には新しい苗を7種類追加してガーデンは少しずつにぎやかになってきた。前年に引き続き、お祭りへの参加と、体験教室を行い、家具の端材や段ボール、余り布などを再生して役立てる提案した。
3年目になるとハーブの知識も増え、バジルやイタリアンパセリを植えてみたいなど、メンバーの中からも提案の声が上がるようになった。剪定をはじめとするハーブの世話の仕方が上手になって、収穫量も増えてきた。
4年目は、チームで初めてガーデン見学に千葉県大多喜町に出かけた。そして、収穫祭を行い、春には19名、秋は31名の方たちに参加してもらえた。
今年は地球温暖化対策として緑のカーテンを広めていく手伝いをするまでになった。ガーデンづくりが軌道に乗るまでは大変なことのほうが多かったが、これからはゴミを一切出さないガーデンに園芸福祉の考え方も取り入れて楽しく続けていくための工夫をみんなで考えて行きたい。

■園芸福祉ふくおかネット副代表:黒瀬 恵子氏
zenkoku09_g_clip_image002_0001 園芸福祉福岡ネットは、2004年7月、福岡の初級園芸福祉士を中心に交流や情報の共有、技術の向上を目的として設立された。2005年には全国大会を開催し、現在会員は100名を超えている。さらに、全国大会をきっかけに韓国との交流が盛んになってきている。
これから緑のカーテンづくりの事例を2つ紹介したい。1つ目はゴーヤのカーテンづくり。これは2005年3月に起こった福岡西方沖地震で震源地に近かった玄海島の家屋の7割が全半壊という大きな被害が出て、島民は仮設住宅で避難生活が始まるという話を聞き、仮設住宅では夏は暑くて大変だから、何か園芸福祉として支援できることはないかと行政や多くのボランティア団体が一緒になってゴーヤのカーテンづくりをすることになった。
園芸福祉福岡ネットではゴーヤの苗づくりや竹の切り出しや取りつけ、苗の植え方の指導を行った。ゴーヤは緑のカーテンとなって、夏の強い日差しをさえぎり、実もつけたが、玄海島にはゴーヤがなく、食べ方がわからないとのことで、ゴーヤの料理教室も行われた。今では支援から交流に変わってきている。2つ目 の事例として朝顔のカーテンづくり。福岡市が地球温暖化対策などを目的として朝顔のカーテンプロジェクトを展開しているが、姉妹都市である韓国釜山市に福 岡市から朝顔の種が送られ、今度は釜山市の朝顔カーテンでとれた種が福岡に里帰りした。両市のみどりの交流を記念して、釜山市より官民合わせて45名を迎え、里帰り朝顔苗植え式なども行われた。環境を保全する目的でつくられた緑のカーテンづくりが、それぞれ海を渡り、人の心と心をつないでいる。

■園芸福祉首都圏ネット幹事:田畑 正子氏
zenkoku09_g_clip_image002_0002 活動のきっかけは6年前にさかのぼるが、東京日本橋ロータリークラブとの出会いであった。園芸福祉の考えに共感、中央区内のデイセンターでの活動の後、浜町公園に活動の拠点を移し、浜町公園ふれあい花壇としての活動が、2004年5月から始まった。
協働のメンバーは、まず活動資金を援助する東京日本橋ロータリークラブ、そして、花壇を提供してくれる中央区公園緑地課、花が好きで水やりやメンテナンスなどを担当する日本橋浜町地域の住民の方、そして活動のノウハウを提供する初級園芸福祉士4名で進められている。
花壇の維持管理作業の後、草花の生育に合わせた室内でのグループ活動との二本立てで毎月1回程度で土曜日の午前中に行っている。毎回その時期に合った活動を考えている。
活動の内容は、春5月と秋11月の2回、皆さんで花壇の植えかえをする。3グループに分かれ、デザインを決めている。
そのほか室内活動の例として、8月は、花壇で育てた藍を使って、1年目は絞り染めのハンカチ、2年目はグループごとの旗、和紙に染めたりと、毎年藍染に挑戦している。
12月に行ったクリスマスキャンドルでは、クリスマスソングを歌って、とても気分が盛り上がった。ハーブ花壇でとったラベンダースティックづくり。こうした作品は、秋に行われる区民文化祭にも出品されている。
ふれあい花壇は夏の水やりなどほんとうに大変な時期もあるが、花苗の成長を我が子のように見守って手入れをしてくださるメンバーのおかげで、区内でも指折りの管理状態と評価されている。活動するスペースは小さくても、長く続けられ、また中央区の他の地区にも活動の輪が広がることを願っている。

■岐阜県国際園芸アカデミー准教授:相田 明氏
zenkoku09_g_clip_image002_0003  屋上緑化の効果を3つ、ヒートアイランド現象、それから微気候、これを改善する、もしくは緩和をする。それからもう1つ、生態系の復活。今まで屋上緑化というと、鑑賞を中心とした庭であった。
私の考えている庭は、利用、活動するような、屋上緑化のイメージを目的としている。屋上の菜園は、「市中の里山」のようなイメージで都市に住む人々に癒しの空間を提供することも造園の役割だということで考えている。
2004年の開学のときから屋上緑化をやっており、植栽面積は144㎡と結構広い。屋上自体の面積は288㎡なので、半分が土の面積となる。屋上緑化では、普通は軽い軽量土壌を使うが、なぜか普通の土が入っている。畑の土が7割、それから山砂が3割。軽量と比べると砂が舞わないし、鍬で耕せる。
ハーブガーデンのエリアがあって、オリーブとか、普通のハーブだが、いろいろある。バラ、ブドウ、かんきつ類、ザクロ、それから月桂樹、など。それから畑、野菜を育てる、夏野菜から冬野菜、いろいろな野菜を育てる庭がある。
種をまいて、苗が育ち、実がなって、翌年また、そのとれたものをまくという自然のサイクルが必要である。これは環境自体が「環のつながり」があるからである。野菜の具は学校でとれたもので、みんなで食事をしたりすることも1つの授業である。

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